女性活躍・地域活性推進外科学講座

2024年4月から3年（延長もあり）の予定で肝胆膵・移植外科学講座の関連寄付講座として女性活躍・地域活性推進外科学講座が開講しました。

本講座の目的は、女性消化器外科医のキャリアの継続、そして活躍の場を広げ、大学病院と市中病院が協力して地域医療に貢献する外科医師を育成することにあります。

卒後臨床研修制度が発足して以来、新卒医師の研修の場が大学病院から大都市の病院へ移行し大学病院と市中病院の協力体制が十分とれなくなっています。大学病院の役割として高度先進医療の推進を行うことはもちろんでありますが、地域における医療の確保、向上を図るため地域医療を支える人材の育成にも取り組む必要がございます。

一方、2015年8月に女性活躍推進法が成立し、2016年4月1日から労働者301人以上の大企業には女性の活躍推進に向けた行動計画の策定が義務づけられるなど、女性が職業生活において活躍できる環境を整備する動きは進んでいるように思われます。しかし、残念ながら消化器外科領域においては女性の占める割合は未だに少なく、専門医は2%程度にすぎません。ましてや指導的立場にある女性消化器外科医にいたっては極々少数です。せっかく消化器外科医を志した若手女性医師が、道半ばにしてその夢を断念せざるを得ないことがあることは旭川医大旧第二外科においても例外ではありません。

本講座では外科学の視点から地域医療に従事する女性若手医師が大学と密接に連携出来るシステムを構築すること、地域医療でのプライマリ・ケアを含めた広範な外科系知識を持ち合わせた人材、ならびに高度な医療技術を地域に還元できるような人材を育成します。

また、近年外科学の領域において低侵襲な腹腔鏡手術が導入され、地域にもその先端技術を早く普及させることで都市部と変わらない医療レベルを維持することができると考えられます。特任助教には消化管外科学講座の大原みずほ先生に就任していただき、女性消化器外科医に対する臨床・研究および手術手技向上のための支援、情報交換、教育啓発活動等を行うことをお願いしております。

このような活動により、消化器外科領域において女性医師にさらに門戸が開かれ、継続したキャリアアップが可能となることは、ひいては消化器外科医の減少に歯止めをかけ、男性医師も含めた消化器外科医全体のワーク・ライフ・バランスの改善につながるものと考えます。結果、そのような人材を育成することにより、地域への適切な人材の配置を行い、地域医療にも貢献することができるように努力していく所存です。