研究

臨床研究(肝胆膵・移植外科)

Research

臨床研究

  1. 高度進行再発肝細胞癌に対する術前薬物療法を中心とした外科切除成績、および術後再発因子・予後因子の検討

    旭川医科大学倫理委員会承認番号:23010
    肝細胞癌は、原発性肝癌の約90%を占める悪性疾患であり、5年生存率は60%、年率再発率は15から20%、5年では70-80%と予後不良な疾患です。肝細胞癌はウイルス肝炎や最近ではMASLDを背景に発癌することが多いですが、その中でも門脈1次分枝あるいは門脈本幹に及ぶ腫瘍栓を有する肝細胞癌、10cm以上の肝細胞癌の予後はさらに不良であることが知られています。その理由として門脈腫瘍栓を有するものは切除後肝内再発率が高いこと、大型肝細胞癌は切除後遠隔転移をおこす率が高いことがあげられます。一方、切除不能肝細胞癌に対してソラフェニブ、レンバチニブ、ラムシルマブなどの分子標的薬やアテゾリズマブ/ベバシズマブの免疫チェックポイント阻害薬の有効性が確認され、本邦でも保険収載されています。
    そこで門脈腫瘍栓を有する腫瘍や大型で一般的に切除不能とされる症例においてレンバチニブやアテゾリズマブ/ベバシズマブを投与し腫瘍縮小効果が得られ肝切除に持ち込める症例が増加しつつあり、治療成績の検討を行っています。

  2. 転移性肝癌に対する新しい治療戦略の構築

    大腸癌肝転移は完全切除できれば30-50%の5年生存を得ることができます。術前化学療法は現時点で再発を抑制する効果は認められておりませんが、腫瘍縮小することで完全切除できる確率をあげることが可能です。従って、繰り返しの完全切除が可能となるマルチステージ切除ができるような術前化学療法基準を模索中です。

  3. 切除不能胆道癌(肝内胆管癌含む)に対する化学療法を含めた治療法の開発

    胆道癌、肝内胆管癌の唯一の根治的な治療法は外科切除ですが、高い再発率により予後不良な疾患です。一方、切除不能胆道癌に対してはジェムシタビン+シスプラチン+S-1あるいはデュルバルマブの有効性が報告されました。切除不能例に対して化学療法後に腫瘍が縮小し外科切除した場合の治療成績を解析し、外科切除の有効性を模索していきます。

  4. MRIエラストグラフィによる肝線維化を考慮した新しい肝予備能評価の構築

  5. 膵体尾部切除後における食事開始時期と膵瘻発生率に関するランダム化比較試験

    膵体尾部切除において2015年から2018年までのレトロスペクティブな解析で術後4日目から食事開始した症例の膵液瘻発生率は25%、2018年から2020年まで術後7日目から食事開始した症例では膵液瘻発生率は5%でした。そこで食事開始時期が膵液瘻発生率に影響を与えるのかどうかランダム化比較試験を現在行っています。

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