研究

基礎研究(消化管外科)

Research

基礎研究

  1. 局所進行直腸癌における術前治療効果予測因子の検討

    局所進行直腸癌の術後再発は10%以上と高率であり、日本では側方リンパ節郭清、欧米では術前放射線化学療法が行われるが、いずれも抜本的な予後改善に結びついていません。その一因として本疾患のゲノム異常の多様性が考えられ、遺伝子情報に基づいた患者ごとの治療戦略を確立する必要があると我々は考えています。現在大腸癌のドライバー遺伝子としてはRAS, APCなど複数が挙げられていますが、ゲノム異常に基づくシグナル伝達異常は複雑であり、現行のドライバー遺伝子情報単独でみた治療戦略では不十分であると我々は考えていてシグナル伝達異常のプロファイリングとの関係性に注目しています。
    本研究では局所進行直腸癌症例を対象に術前化学療法の効果と、免疫染色の染色パターンとそれに基づいたTP53およびRAS/RAFシグナル、WNT経路との関連性を研究しています。現在遺伝子変異と化学療法の効果に一部の相関性が見られておりその原因を研究中です。

  2. 高頻度マイクロサテライト不安定性大腸癌の臨床病理学的アプローチによる病態解明

    高頻度マイクロサテライト不安定性大腸癌はリンチ症候群との関連性や免疫チェックポイント阻害剤の有効性から近年注目されています。旭川医大消化管外科では遺伝性大腸癌診療ガイドラインでの推奨もあり、大腸癌原発巣切除症例には原則全例にマイクロサテライト不安定(MSI)検査またはMismathch repair (MMR)蛋白免疫染色による高頻度マイクロサテライト不安定性検査を実施しています。高頻度マイクロサテライト不安定性はリンチ症候群との関連性もあり、その病態解明は重要なものであるとわたしたちは考えています。本研究では当院で施行された高頻度マイクロサテライト不安定性大腸癌の臨床病理学的特徴を分析し、今後の治療に役立てたいと考えています。

  3. 腹腔鏡教育における「折り鶴トレーニング」の効果

    医学教育分野は定量化がされにくい分野になっています。そのため非効率な教育方法が行われていることが現状です。我々は教育の評価方法においてFLSに注目することでその問題を克服し腹腔鏡教育において、操作性向上のためのトレーニングとして腹腔鏡で折り鶴を折る「折り鶴トレーニング」が有効であると考えその結果を報告しています。現在、さらなる向上を目指し、適切な教育方法を模索中です。

  4. 大腸癌肝転移の病理組織学的増殖パターンの病態解析

    現在、大腸癌肝転移患者の予後を改善するための、病理パターンによる解析を肝胆膵・移植外科と共同で施行しています。詳細は肝胆膵・移植外科の研究ページをご参照ください。

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